2004年4月17日土曜日

ドッグヴィル

退社後有楽町へ。映画「ドッグヴィル」を観に行く。

つーか今まで「ドッグ・ヴィル」と書いてました。。。_| ̄|○




私がトリアーに触れたのは「ヨーロッパ」からで割と遅め。

モノクロ映像の美しさに涙が出そうになった。

内容ではなく、自主映画作家として涙が出そうになったのは

これと市川昆の「新撰組」くらい。



その後「奇跡の海」「ダンサー・インザ・ダーク」と続くのだが、

両作品とも、はっきり言って期待外れだった。

まあ、これは単純に精神病患者の出て来る映画が

自主映画臭くて好きではないだけだが。



余談だが、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を東京国際映画祭で観た時、

トリアーに会えると思っていたのだが、飛行機に乗れないという

ふざけた理由(フライト恐怖症)で来日しなかった。

その為、「ドッグヴィル」の撮影もアメリカを舞台にした映画にも関わらず、

スウェーデンで撮影されている。



正直、私の好きなニコール・キッドマンが潰れたるのでは、と心配していた。

実際「ダンサー・イン・ザ・ダーク」撮影後、

ビョークはこの映画が元で女優廃業を宣言。



さすがにトリアーは同じ失敗は繰り返さず、

撮影現場から逃げたニコール・キッドマンを必死に説得したそうだ。

私とは大違いだ←オイ



現場は本当に過酷だったらしく、

「約束するよ。あの頭のおかしい監督の映画には二度と出演しない」

「撮影は本当に困難だった・・・頭に杭を打ち込みたい気分だ」

「時々、本当につらくてたまらなくなったわ」

と出演陣に告白される始末。

文句が出なかったのは、トリアー作品常連のジャン・マルク・パールくらいか?

でも、この人ってリック・ベンソンの映画には絶対出ないそうだ。

「グラン・プルー」の現場がよほど嫌だったのか?

つーか、トリアーならいいのか?



映画を観ての感想だが・・・

首輪に繋がれたニコール・キッドマン萌え〜!



しかも村の女連中にはこき使われ、男どもにはレイプされまくり。

また、この男達が自分に言い訳しながらレイプすんだよ。

これでメイド服着てた日にゃあ・・・。



��次元OKのオタクなら、絶対観に行くべし!



・・・などというキモイ俺のリビドーは置いといて、ここからは真面目に。



アメリカを舞台にしているが、画面に映るのは黒い床の上に

白線で引かれたスタジオ。これを「村」としている。

舞台演劇のようでいてそうではない。

映し出されているのは「ドッグヴィル」という村そのものだ。

まあ、こんな環境で撮影していたらおかしくなるのも無理はない。

ニコール・キッドマンが逃げたのもある意味当然だ。



「奇跡の海」の頃はウザくて嫌だった手持ち撮影も、

今回はDVカメラ+ステディカムのせいか、手持ちの割には安定していた。

��Vの割には画があまり荒れてない。

「ゼブラーマン」のスタッフにも見せてやりたい。



つーか、今回の照明は「ドグマ95」のルールに違反してないか?



内容はというと、人の行き来が殆どない「ドッグヴィル」という村に、

一人のミステリアスな女、グレースが来た事から物語が始まる。

かくまって欲しい、というグレースに初めは親切に接していた村人だが、

やがて本性をむき出しにしていく。



信じては裏切られて、ボロボロになっていくグレース。

この辺は「奇跡の海」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同じだ。



だが、この映画は先程の2作品とは違う。

そこには衝撃のラストが待っている。



公式BBSには

「ドッグヴィルは今のアメリカを揶揄した」

「グレースはマリアであり、キリスト教批判だ」

と香ばしい意見があるが、テーマは単純だ。



「人の弱さ」



どんなに気高い心を持とうとも、人は所詮神にはなれない。

「欲望」「憎しみ」を押さえきれない、それが人間だ。

「都会もここの人間も同じ」

という劇中の台詞がこの映画のテーマであろう。



難解だという人も多いが、正直今までのトリアー作品の中では、

比較的わかりやすい。

カンヌを取れなかったのはその辺りか?

ラストのアレ(ネタバレになるので内緒)はもう少し長くしてもいいと思う。

その方がよりテーマが伝わったはずだ。



久しぶりにトリアーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!って感じだ。

とりあえず今年の映画でベスト5以内に入るのは間違いない。



とにかく観ろ!