退社後有楽町へ。映画「ドッグヴィル」を観に行く。
つーか今まで「ドッグ・ヴィル」と書いてました。。。_| ̄|○
私がトリアーに触れたのは「ヨーロッパ」からで割と遅め。
モノクロ映像の美しさに涙が出そうになった。
内容ではなく、自主映画作家として涙が出そうになったのは
これと市川昆の「新撰組」くらい。
その後「奇跡の海」「ダンサー・インザ・ダーク」と続くのだが、
両作品とも、はっきり言って期待外れだった。
まあ、これは単純に精神病患者の出て来る映画が
自主映画臭くて好きではないだけだが。
余談だが、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を東京国際映画祭で観た時、
トリアーに会えると思っていたのだが、飛行機に乗れないという
ふざけた理由(フライト恐怖症)で来日しなかった。
その為、「ドッグヴィル」の撮影もアメリカを舞台にした映画にも関わらず、
スウェーデンで撮影されている。
正直、私の好きなニコール・キッドマンが潰れたるのでは、と心配していた。
実際「ダンサー・イン・ザ・ダーク」撮影後、
ビョークはこの映画が元で女優廃業を宣言。
さすがにトリアーは同じ失敗は繰り返さず、
撮影現場から逃げたニコール・キッドマンを必死に説得したそうだ。
私とは大違いだ←オイ
現場は本当に過酷だったらしく、
「約束するよ。あの頭のおかしい監督の映画には二度と出演しない」
「撮影は本当に困難だった・・・頭に杭を打ち込みたい気分だ」
「時々、本当につらくてたまらなくなったわ」
と出演陣に告白される始末。
文句が出なかったのは、トリアー作品常連のジャン・マルク・パールくらいか?
でも、この人ってリック・ベンソンの映画には絶対出ないそうだ。
「グラン・プルー」の現場がよほど嫌だったのか?
つーか、トリアーならいいのか?
映画を観ての感想だが・・・
首輪に繋がれたニコール・キッドマン萌え〜!
しかも村の女連中にはこき使われ、男どもにはレイプされまくり。
また、この男達が自分に言い訳しながらレイプすんだよ。
これでメイド服着てた日にゃあ・・・。
��次元OKのオタクなら、絶対観に行くべし!
・・・などというキモイ俺のリビドーは置いといて、ここからは真面目に。
アメリカを舞台にしているが、画面に映るのは黒い床の上に
白線で引かれたスタジオ。これを「村」としている。
舞台演劇のようでいてそうではない。
映し出されているのは「ドッグヴィル」という村そのものだ。
まあ、こんな環境で撮影していたらおかしくなるのも無理はない。
ニコール・キッドマンが逃げたのもある意味当然だ。
「奇跡の海」の頃はウザくて嫌だった手持ち撮影も、
今回はDVカメラ+ステディカムのせいか、手持ちの割には安定していた。
��Vの割には画があまり荒れてない。
「ゼブラーマン」のスタッフにも見せてやりたい。
つーか、今回の照明は「ドグマ95」のルールに違反してないか?
内容はというと、人の行き来が殆どない「ドッグヴィル」という村に、
一人のミステリアスな女、グレースが来た事から物語が始まる。
かくまって欲しい、というグレースに初めは親切に接していた村人だが、
やがて本性をむき出しにしていく。
信じては裏切られて、ボロボロになっていくグレース。
この辺は「奇跡の海」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同じだ。
だが、この映画は先程の2作品とは違う。
そこには衝撃のラストが待っている。
公式BBSには
「ドッグヴィルは今のアメリカを揶揄した」
「グレースはマリアであり、キリスト教批判だ」
と香ばしい意見があるが、テーマは単純だ。
「人の弱さ」
どんなに気高い心を持とうとも、人は所詮神にはなれない。
「欲望」「憎しみ」を押さえきれない、それが人間だ。
「都会もここの人間も同じ」
という劇中の台詞がこの映画のテーマであろう。
難解だという人も多いが、正直今までのトリアー作品の中では、
比較的わかりやすい。
カンヌを取れなかったのはその辺りか?
ラストのアレ(ネタバレになるので内緒)はもう少し長くしてもいいと思う。
その方がよりテーマが伝わったはずだ。
久しぶりにトリアーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!って感じだ。
とりあえず今年の映画でベスト5以内に入るのは間違いない。
とにかく観ろ!