2011年5月18日水曜日

都条例改正執行停止に関する陳情

昨年末に決定した改正された青少年育成に関する都条例改正。
実写や小説は除外されたが、漫画やアニメやゲームをピンポイントに狙い撃ちにした。

参考:「規制の範囲、むしろ拡大」――漫画家3団体、都条例改正案に反対声明

実写が除外されたとはいえ、漫画やアニメの一ファンとして、
そして、
日曜映画監督としても、今回の条例改正は見過ごせなかった。
また、表には出せない話として、色んなところで影響が出始めてるとも聞いた。


周囲とも相談し色々考えて結果、今回条例執行停止の陳情書を出す事にした。
陳情書は3月9日に受理され、追加署名も5月16日に全て受理された。
以下、その内容と署名者を紹介する。




23第25号 東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正の執行停止に関する陳情


懇意:

都において平成22年12月22日条例第97号にて改正された

東京都青少年の健全な育成に関する条例改正の執行を

関係各社・団体と良く話し合って理解を得るまで停止していただきたい。


理由:

平成22年12月22日条例第97号にて改正された東京都青少年の健全な

育成に関する条例改正において、以下の問題点がある。

○漫画やアニメに限定し、小説を除外する正当な理由が見当たらない。これは東京都の表現差別に値する。

○日本動画協会・日本漫画家協会等、関係団体への説明が不十分で「表現規制につながる」との誤解が解けていない。

○不健全図書の扱いにおいては現行の条例のままでも充分対処が可能であり、規制を強化する必然性が見当たらない。

○出版社との見解がまとまらず、東京都主催の「東京国際アニメフェア2011」において角川書店等の離反を招き、収入の大幅減が予想される。ひいては東京都の財政に影響を及ぼす。

以上

趣旨に賛同していただき、追加署名を頂いた方(五十音順・敬称略)


石ノ森アキラ(石ノ森ブレイン管理人)

伊藤りえ(ライター)

柏木大(会社員)

工藤稜(イラストレーター)

来栖美憂(文筆業)

迫稔雄(漫画家)

清水俊文(映画監督)

しらいしろう(漫画家)

0011号彦(イラストレーター)

野上武志(漫画家)

不惑堂(モデラー・俳優)

むらかわみちお(漫画家)

他21名

ご署名いただいた皆様、ありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。


「廃止」ではなく「執行停止」という言葉に違和感を覚える人も多いと思う。
しかし、何事も反対ばかりでは物事は前に進まない。

昨年民主党の議員の方とお話したところ
「単に反対ではこの先難しい」
との見解だった。しかも一度通った法案を廃止するのは容易では無い。
大人の対応として妥協点を見出すべく「執行停止」という落とし所に着地した。


条例の執行自体は止められなくても、お互いに歩み寄る事は可能なはずだ。
私の出した陳情を切っ掛けに、都と出版社と和解の象徴として、来年の東京アニメフェアは無事に開催されるかもしれない。

私達は争いたいわけじゃない。自分の守るべきものを守りたいだけだ。


政治理念を押し付けるのも嫌いだし、表現規制をネタにして売名行為をするのも嫌い。

売名行為とか
イベント開催や本を出してお金儲けとか、
社会党の資金管理団体になったりとか、
著名人とこれを気にお近づきになりたいとか

…をするつもりは全く無いので、

今回は基本面識のある方にのみメールでお願いする事にした。

しかも特撮・映画方面や会社関係やバスケ仲間等、
都条例規制に関心の薄そうな人には声を掛けてない。

唯一面識が無かったのは「嘘喰い」の作者の迫稔雄さん。
たまたまtwitterでフォロワーしていただいたご縁から、思い切ってお願いしてみた。
単なる一ファンという立場の私の申し出を、快く受けてくれた。
ありがとうございます。


「数を集めなければ意味は無い」という指摘を受けたが、解決策が浮かばない。


市民団体の主催者のように、どっぷり政治活動に浸かる生活は送れない。
個人で数万単位の署名を集めるのは現実的ではない。
加えてオタクは実名晒す署名活動を極度に嫌う。
ならば他の団体と組めばいいかと思うが、組めそうな団体に心当たりが全く無い。


そこで今回は、追加署名の負担を減らすべく、用紙をPDFファイルにし、見本とマニュアルを併せてメールした。
PDFファイルをプリントアウトし、署名して私に送付するだけでいい手順となっている
(都議会議会局議事部議案法制課に用紙の形式・手順共に確認済)。
署名は直筆でなければならない事を考えると、今回より簡便化するのは難しいと思う。

署名者の負担を減らすべく、できるだけ手順を簡易にしたつもりだったが
プリントアウトして郵送というのは、私の想像以上にハードルが高かったらしい。
思ってた以上に署名の集まりは芳しくなかった。

正直自分の人徳の無さに絶望しましたよ(笑)。
ただ、そんな私にも署名してくれた方がいたのは救いだった。
本当にありがとう。

断わった理由を言ってくれた方もいた。それはそれでありがたい。
中には「別口で動いているので今回は見合わせたい」という方もいた。
逆に向こうから謝られてしまい、恐縮した。


秘密裏に動いていたので嫌がらせ等は少なかった。
唐沢俊一アンチの一派から受けた脅迫くらいだと思う。


「君の意見には断固反対だが、 君が意見を述べる権利については命をかけて守る」by ボルテール


ある意味政治活動ともいえる署名のお願いは、私には心理的負担が大きかった。
思考停止には「考えろ」とは言うが、
政治理念を人に押し付ける事は絶対にしたくない。

「数が無くては意味が無い」と助言を受けていたにも関わらず、
自分の美学に拘ってガムシャラに数を増やす行為をしない事に葛藤もある。


まっすぐ生きるのは、簡単なようでいて結構難しい。


よろけたり

くじけたり

堕ちたり

道が曲がったり


綺麗事だけでは物事は進まない。それでも曲げてはいけないものもある。


「陳情なんて無駄じゃね?」


確かにその通りかもしれない。

しかし、今後どう動くのであれ、楔は打っておかないと。
ネットで呻いたところで、現実は何も変わらない。

逆に、今何もしなかったら「次」も無いんだろうな、と、漠然と思ってる。
無駄だと思って諦めてしまっては何も出来ない。
自らが動いてこそ、見えるものもあるし得るものもある。 流した汗は自らの中に蓄積され、糧となるのだ。


私の陳情書で未来がどうなるかはわからない。実際やった事と言えば

・都議会議員に接触&陳情
・陳情書を書く
・署名を集める

くらい。こんな事は誰にでも出来る。必要なのはやる気だけだ。
できれば、後に続く人が現れる事を願っている。

「誰かやって下さい」とネットでつぶやく前に、自分の足で立って欲しい。


私自身、今回の経験も権力に抗う方法を模索し、色々勉強になった。
こういう事は幾らググッても出てこない。実際動いてこないとわからん事もある。
例え負けたとしても、次に勝つ為の布石になればそれでもいい。

人は生きている限り「運命」と戦い続けるものなのだから。